人民代表大会のしくみ
中国の人民代表大会は、形式上からいえば、議会にあたるものである。
まず中央には全国人民代表大会があり、日本の国会に相当する。中国では「全人大」と略称されているが、日本では「全人代」と略される。
現行憲法において、全国人民代表大会は「最高の国家権力機関」とされている。その主な職権には、◆憲法の改正・監督、◆法律の制定・改正、◆国家主席・副主席の人選、◆国務院総理の人選、◆国民経済計画の審査・承認、◆国家予算の審査・承認などがある。
全国人民代表大会の代表は三〇〇〇名程度であり、代表の任期は五年である。地域代表制の原則に基づいて全国の省・自治区・直轄市および軍隊から選出されているが、選出方法は国民による直接選挙ではなく、選出母体による間接選挙で共産党の意図に沿った人選が行なわれるのが普通である。
全国人民代表大会の下に、行政レベルごとに次の三段階の地方人民大会がある。上から、①省・自治区・直轄市人民代表大会、②市・県人民代表大会、③郷・鎮・区人民代表大会。である。そのなかで、②の市・県人民代表大会、③の郷・鎮・区人民代表大会では、その代表は直接選挙によって選出されるという形式をとっている。
以前の選挙では、選出される定数と同数の推薦候補者しか立てられず、候補者イコール当選者という状況であったが、一九八〇年に施行された人民代表大会の選挙法で、選挙民が直接選挙する代表候補者の定員に対して一・五倍ないし二倍の数の推薦候補者が立てられるようになり、何人かのなかから代表を選出できるようになった。②、③のレベルでの代表選挙は多少は民意を反映できるようになったわけである。本書が地方人民代表大会における農民代表の比率を増やすことによって農民の利益を守ろうと提案しているのも、このような変化をふまえたうえでのことである。
